ごあっ!?

思わず珍妙な声を上げてしまったのは姪の誕生日会であった。なぜか我が家はいつのまにか誕生日会を外でやることになってしまっていてそのほとんどをセンター南というハイカラな名前の駅の近くにあるイタリアンレストランで行うのだった。なぜ今まで外で飯を食うことすら珍しかった我が家がこんなしゃれたアメリカンじみたことをしはじめたかはなんとなく、高所得者であらせられる義理のお兄様に引きづられてだろう、と察しがつく。もちろん俺は一銭も払うつもりも金もないので喜ばしいことである。でも無職の豚野郎は実際そうなのか、はたまたそう感じているだけなのか、たぶん両方が混ざって、とても肩身が狭いのであった。でも勧められた酒は一度も断らずここぞとばかりに飲んでおくのであった。やはりここはワインよりビールなのであった。かはは。そして題名の頓狂な声を上げたのはピザなどでいい感じに酒が進んでいるときだった。突然お兄様のお母様、つまり俺から見ると赤の他人、がバッグに隠し持っていたペットボトルの水を俺のビールに並々とそそいだのであった…。
ごあっ!?な、なにするんですか!?ビールに水を注いだら味が薄くなって飲めなくなってしまうじゃないですか!!
「いえね、この水、すごくいいのよ」
え?へ?聴いて…。
「このようにお酒に入れて御覧なさい、あまり酔わないお酒になるのよ。これは水の分子がとても細かいおかげなの」
分子ですか…、あの、でも僕は酔うために、お酒…
「(無視して)もちろん飲むだけじゃなくお風呂に入れても汚れが一箇所にたまってとても衛生的かつ経済的。これは水の分子が細かいおかげなの。この水が2リットルで500円。ああ、それとこの浄水器。これもいいのよ〜。これは45万ね。どう?一台?」
ハ、ハァ…。